Vol.95 相国寺、癒しの秘空間
05.5.21訪問/5.25掲載
 5月の陽気に昼でも眠気に誘われます。今日は、何だかゆっくりしたくて、静かなお庭を探しました。
 相国寺(しょうこくじ)は、臨済宗相国寺派の総本山。金閣寺銀閣寺を末寺に持ち、かつて建仁寺などとともに京都五山の一つでした「相国」とは、創建した足利義満の役職、左大臣の意味。今では、春と秋の特別拝観でしか入れません。
 
10あまりの塔頭をもつ広い境内は、しーんとして訪れる人もまばら。少し行くと、赤松の明るい林の向こうに、巨大な建物が現れました。法堂(はっとう)です。天井には円を描くように龍が描かれていました。通称「鳴き龍」。龍の下で手を叩くと、鈴を転がしたように、音が幾重にも反響します。面白いことに、叩く人によって音が変り、高い音、低い音、優しい音、軽い音・・・個性がより強調されるのです。
 次は方丈です。表の白砂の庭を過ぎると、裏に私の探していた空間がありました。新緑の生い茂る庭です。松からモミジまで木の種類で緑色も様々。廊下と新緑の間には、深い溝が作られ、白い石が敷き詰められています。水を表しているのでしょう。枯山水というと、大海とそこに浮かぶ島という「静」のイメージですが、ここは谷間の急流、「動」のイメージです。目を閉じると、川のせせらぎが聞こえるようでした。

 最後は、浴室です。といっても、湯船はなく、たらいとひしゃく、小さな腰掛けがあるだけ。お風呂というよりサウナでした。係の人が、「お坊さんたちは、浴衣の上から数回お湯をかけるだけ。私語も禁止」と説明してくれました。リラックスする場所でというより、厳しい修行の一つだったのです。
 とはいえ、厳しい修行の寺も、今の私にとっては癒しの空間。疲れた時は「お庭にGo!」です。
写真(上から)みとーと相国寺の法堂/方丈の庭園/相国寺の浴室