Vol.7 銀閣寺&平安カラーの紅葉
 03.11.26訪問/11.28掲載
 紅葉の美しい季節。とっておきの紅葉を求めて京都に出かけてきました。東山の禅林寺(永観堂)を訪ねると、門をくぐった途端、赤や黄色のカラフルな紅葉が目に飛び込んできました。境内のどこへいっても紅葉の競演が見られました。このお寺は、平安時代に空海の弟子・真紹が開山し、後に永観(ようかん)律師が念仏道場としたそうです。

 続いて、永観堂のそばの南禅寺を訪れました。歌舞伎で石川五右衛門が登った三門の前でも、紅葉が盛りを迎えています。このお寺には、日本を代表する美しい庭園がありますが、私が特に好きなのは回遊式庭園の南禅院。紅葉が池に映って落ち着きのある美しさを放っていました。
 最後に哲学の道を通って、慈照寺(銀閣寺)へ。銀閣寺というと、金閣寺に対しての建物ばかりが目立つのですが、訪れてみて初めてここの紅葉の美しさを知りました。銀閣寺の奥の東山全体が、紅葉に染まり、手前の庭園と溶け合って、絵のような風景を作り出しています。たちまち私の「紅葉の名所リスト」上位にランクインしました。

 ところで、燃えるような赤い紅葉を求めてやってきたのですが、今年はちょっと様子が違います。境内で清掃していた方に聞くと「今年の色づきは、美しかった去年と比べて3割程度。冷夏と最近の暖かさのせいでしょう」と話していました。確かに、深紅の紅葉は数えるほどしかありません。しかし、黄緑色から黄色、そして朱色へと見事なグラデーションが見られ、太陽の日差しがあたる所では色に透明感があり、淡い色で描いた水彩画の世界が広がっていました。「平安カラー」と呼びたくなるような紅葉でした。
写真(上から)永観堂/みとーと銀閣寺/南禅院