Vol.13 初雪の白、鹿苑寺の金
 03.12.21訪問/12.25掲載
 19日の夜の京都市内は、まるで冷蔵庫の中を歩いているように寒く、どんなに厚着をしていても、冷えは体の芯までやってきました。突如、空から白いものが舞い始めました。初雪です! その瞬間だけ、寒さが吹き飛び、うれしさがこみあげてきました。

 2日後、すっかり雪が溶け、青空も垣間見られましたが、雪の鹿苑寺(金閣寺)を見たい!とかすかな期待を込めて出かけました。バスが金閣寺に近づくにつれて、屋根に雪が積もった家々が現れ始めました。同じ市内でも、この辺りは北山。山の裾野にあり、標高が高いのです。そして、金閣寺の門をくぐって歩いていくと・・・うっすら白い雪で屋根がコーティングされた金閣寺が姿を現しました。「わー!きれい」と思わず、口をついて出てきました。
 金閣の手前には、空の青さが映りこんだ鏡湖池
(きょうこち)があります。文字通り、鏡のように、雪を頂く金閣を映し、豪華で贅沢な景色を作り出しています。金閣寺は、いつ来てもきれいですが、この日は特に屋根の白さがまぶしいほどに強調され、格別でした。

 ここから、「きぬかけの路」を歩いて、仁和寺を訪れました。観光客が絶えない金閣寺に比べ、静かで広い境内には神聖な空気が流れているようです。格子の壁が美しい、気品ある金堂(国宝)。うっすら雪をかぶった屋根からは、ポタポタポタッと雪解け水が流れ落ち、さわやかな調べを奏でています。御殿にある南庭でも、ところどころに雪が残り、静寂の中で、冬の庭を鑑賞できました。
 京都の冬は、聞きしに勝る寒さですが、それ以上に、雪をめでるという楽しみもあります。次は、いつ雪が降るのか、待ち遠しくなりました。
写真(上から)みとーと光輝く金閣寺/金閣と鏡湖池/仁和寺の本堂