Vol.76 宝ヶ池で「お宝」探し 04.12.2訪問/12.24掲載
 師走に入り、そろそろ冬本番かと思いきや、暖冬で紅葉の見頃はまだ続きそう。
 地下鉄烏丸線の終着駅、京都国際会館駅を降りると、すぐそばに宝ヶ池公園があります。比叡山をバックに灌漑用の人工池を囲む、市民のオアシスです。面積は約37万uで、京都最大の公園です。
 シンボルの京都国際会館は、合掌造りと現代建築を融合させたという複雑な国際会議場。97年に京都議定書を採択。98年には世界遺産委員会が開かれ、我が「古都奈良の文化財」が登録された歴史的な場所です。ここから世界に発信しているんだと思うと、感激もひとしお。まさに「お宝」発見でした。
 
 この周囲はかつて貴族の別荘地で、今も古刹が点在しています。
 まずは、岩倉実相院門跡。門跡とは、皇室にゆかりのある寺のことで、三千院知恩院など全国に17ヵ所しかありません。立派な門構えや豪華な襖絵など、格調高い造りが特徴です。実相院の回遊式庭園では、黄葉が1本だけ残り、太陽のスポットライトを浴びていました。紅葉も見納めかと、「つくばい」に目を落とすと、赤と黄のモミジが浮かべられ、なんとも心憎い演出が! この気配りこそ「お宝」でした。

 続いて、蓮華寺を訪ねました。門をくぐった途端、夕焼け色のモミジが目に飛び込んできました。小さいながらも手の込んだ庭は、詩仙堂を造った石川丈山作。パステルカラーのモミジが青緑色の池に映しだされ、素敵な穴場の「お宝」でした。
 
 夕暮れ間際、宝の数々をそっと胸にしまいこみ、ふと山の方を見上げると、夕日に照らされたエアーズロック(オーストラリア)のように赤く燃えた比叡山がたたずんでいました。
写真(上から)宝ヶ池・京都国際会館とみとー/実相院のつくばい/蓮花寺の「夕焼け色」の紅葉