Vol.52 サムライ モスク 知恩院 04.7.17訪問/8.4掲載
 さわさわさわ……木々の緑が重なり合い、すーっと風が抜けていきます。
 ここは、知恩院の方丈庭園。夏は暑く、冬は寒いことで知られる京都ですが、緑の林の庭園は、つかの間の清涼剤です。
 知恩院は、浄土宗の総本山。トム・クルーズ主演の映画「ラスト サムライ」のロケ地にもなりました。日本最大の三門(国宝)は、夏空を背に威風堂々、訪れる人を圧倒します。映画では、この三門の向こうにある階段を、日本に来たばかりのトム演じるオールグレン大尉が上がっていきます。これから待ち受けるサムライとの物語の幕開けに、この威厳ある三門はぴったりだと思いました。

 階段を上ると、御影堂(国宝)です。体育館が丸ごと入るほどの大きさ。中に入った途端、ふっと力が抜けて座り込んでしまいました。焼け付くような日差しで、体力も消耗しました。見回すと、ごろんと横になったり、足を投げ出したり、みんな思い思いに休んでいました。薄暗がりの遠くから、うっすら聞こえる読経も涼しげです。このまったりした雰囲気、どこかであったような・・・頭に浮かんだのは、エジプトやインドのモスクで見た光景でした。なんだか他宗教の人たちとつながった気がしました。
 
 知恩院のすぐ近くにあるのが、青蓮院です。その字のごとく、青々とした緑美しい庭園が魅力です。クスノキの巨木や竹林、苔のじゅうたん、緑のモミジもいいものです。京都・花灯路で見た洗練された静寂とは全く違って、すがすがしさを感じる庭園でした。その緑の庭の隅に、ピンクの百日紅(さるすべり)が花を咲かせ、ちょっとしたアクセントになっていました。あの百日紅、きれいだったなあ。
写真上から)知恩院の三門とみとー/知恩院の御影堂/青蓮院の庭園