Vol.75 秋の詩人、詩仙堂 04.11.30訪問/12.18掲載
 紅葉は、秋にしか味わえない「芸術」。それを、北白川界隈で知りました。
 純白の砂。サツキの植え込み。カラフルなモミジ。晴れ渡る秋の空。人里離れた静かな庭が華やいでいます。
 ここは詩仙堂。江戸初期の文人・石川丈山が建て、現在はお寺になっています。堂名の由来となった「詩仙の間」には、狩野探幽による中国三十六詩仙の肖像画と、丈山が自ら書いた各詩人の詩があります。さらに、奥には、藤棚、ススキ、睡蓮・菖蒲の池と、四季が楽しめる庭園もあります。質素な中に四季の移ろいを感じる空間、これを贅沢というのでしょう。詩の材料がいっぱい詰まっています。丈山は、一歩も外出せずに隠遁生活を送ったそうです。まさに丈山の「詩」の世界でした。

 次は、紅葉の「舞台」。演じるのは、もちろんモミジです。円光寺の庭は、モミジに覆われています。時折、ハラハラと雪のように葉が散り、落ち葉で満たされた地面はピンクのじゅうたんです。特等席は、本堂の座敷。ちょうど柱が舞台の枠になり、紅葉のショーの始まりです。主役は、中央に一本たたずむ真っ赤なモミジ。「私を見て!」といっているように、実に堂々と演じていました。

 最後は、紅葉の「コーラス」。曼殊院は、門跡だけあって大きなお寺です。立派な門構えの両側には、朱色のモミジがずらりと並び、白壁によく映えます。ここは紅葉のコーラス隊。クラシックが似合いそう。中の枯山水の庭園にも紅葉がありました。しかし、メインは松の木で、モミジは、バックコーラスでした。
 近くには修学院離宮もあり、ここは芸術の秋に浸れるお気に入りのエリアです。
写真(上から)詩仙堂の庭園とみとー/円光寺の紅葉/曼殊院の紅葉