Vol.25 花灯路 古都×現代の美
04.3.13,21訪問/3.24掲載
 日が暮れて、空が群青色になった頃、京都の東山は灯籠の明かりで照らし出されます。3月12日から21日まで続いたイベント、京都・花灯路(はなとうろ)です。

 東山は、京の風情を色濃く残す町。産寧坂や「ねねの道」など、石畳の脇に灯籠が並べられ、しっとりとした雰囲気を醸し出しています。道沿いの甘味処や小物の店に立ち寄りながらそぞろ歩きするだけでも楽しいのですが、ライトアップされた寺社を訪れると、さらに京都の「美」の奥深さを味わうことができます。
 最初に訪れたのは、青蓮院
(しょうれんいん)。お香の匂いが漂う中、全体に明るさを抑えた照明で、厳かな空気で満たされています。庭園では丸い照明で不思議な世界を、竹林では白い光で幻想的なかぐや姫の世界を、工夫を凝らした趣向で見せてくれました。寺の静寂とその中の美を体感しました。
 北政所(ねね)が開創した高台寺では、庭園の大きな池が鏡となって、周囲の木々がそっくりそのまま映りこみ、しばらく言葉を失うほどの美しさです。
 映画「ラスト サムライ」のロケ地となった知恩院や、清水寺もライトアップされました。


 光を様々な形で演出した「現代的なもの」が、京都の「古いもの」の良さを一層引き立て、新しい美を作り出す、その見事さに感動しました。
写真(上から)みとーと産寧坂/青蓮院の庭園/高台寺の庭園の池/清水寺