Vol.29 清水寺、桜のスポットライト
04.4.1訪問/4.5掲載
 やわらかい春の日差しに包まれて、京都・東山の桜を見に行きました。開花情報で、今一番の見頃ということでした。京都駅でバス乗り場へ行くと、いきなり長蛇の列。乗るだけで1時間待ち。さすが京都はすごい人気。奈良公園とは比較になりません。

 清水寺の桜は八分咲き。青空にそびえる朱色の三重塔に桜がかかり、「赤・ピンク・青」の美しい京の春に迎えられました。
 1000本の桜の木がありますが、境内がピンク一色に染まるわけではありません。舞台から遠くを見渡すと、塔に向かってピンクの花道ができていました。一方、奥の阿弥陀堂から舞台を眺めると、舞台の周囲だけがピンクに染まっています。まるで桜のスポットライトで浮き上がっているよう。これぞ自然の演出です!

 次に訪れたのは、秀吉の妻・ねねが過ごした高台寺。期待して中に入ったのですが、広い庭に桜はほとんどなく、花も葉もない木々ばかり。がっかりしながら足早に回り、最後にきたのは方丈前庭。白い砂が敷き詰められた枯山水の庭の隅に、3本のシダレザクラを発見しました。花は、周りと調和を保つように繊細にしっとりと咲いています。今日は、この3本のためにきたことを悟りました。さすがは京都のお寺。最後に見せた演出は、心憎いというか、回りくどいというか、京都らしさを表していました。

 最後は、やはりシダレザクラで有名な円山
(まるやま)公園。遠くからでないと全体が視界に入らないほどの桜は、まさにこの公園のシンボルです。周囲にはお花見用のブルーシートの波が押し寄せていました。
 同じ東山でも三者三様。それぞれに趣が違うことを知り、桜のバリエーションの多さに感心しました。
写真(上から)清水の舞台とみとー/高台寺のシダレザクラ/円山公園のシダレザクラ