Vol.81 長谷寺、四季の階段 05.1.1etc訪問/2.14掲載
 長谷寺には本当に何度も訪れています。2004年は実に5回桜の春、牡丹の初夏、紅葉の秋、そして・・・2005年も、スタートして3時間後、さっそく来ちゃいました。薬師寺で除夜の鐘をついた後、奈良市内から車で約1時間、桜井市の山中に着きました。

 辺りは闇の中。訪れる人はまばらで、深々と夜は更け、ひんやりした空気が体の中に染み入るよう。長谷寺では毎年、大晦日から観音万燈会
(まんとうえ)があります。有名な399段の石段や本堂に灯籠が置かれ、心静かに新年を祝うのです。わずかな風にちらちらと揺れる灯籠。温かくもはかない光に照らされて、まっすぐ伸びる階段。ふと外側に目をやると、雪よけの藁の屋根に守られ、寒牡丹が大輪の花を咲かせていました。
 ここは花の寺。桜、牡丹、紫陽花、紅葉、来るたびに違った装いです。そして今日からまた花の一年が始まるのです。そんなことを考えながら、私は、吸い込まれるように、一段一段、歩を進めていきました。

 頂上には京都の清水寺を思わせる大きな舞台と、高さ10mを越す十一面観音菩薩像を安置した大きな本堂があります。本堂は、去年10月、国宝に指定されたばかりです。初詣でにぎわう寺もいいですが、静けさが漂う寺もいいものです。世界中の人が静かで心安らかなお正月が迎えられますようにと、手を合わせました。
(写真 左:上から)冬、灯籠と本殿/春、境内の桜/夏、登廊脇の牡丹/秋、境内の紅葉
(写真右)登廊の灯籠とみとー