Vol.62 明日香村 駆け抜けて
 04.10.16訪問/10.22掲載
 満開のコスモスが秋風に揺れ、その向こうでは、黄金に実った稲の刈り入れ作業が真っ最中。なんてのどかなんでしょう。秋晴れの下、自転車で明日香村を駆け抜けました。

明日香村は、聖徳太子が活躍した飛鳥時代の都でした。その時代を物語る多くの史跡や古墳が残っています。
 中でも有名なのは高松塚古墳でしょう。中の壁画は非公開なので、複製を見学しました。飛鳥美人といわれる4人の女性の壁画からは、当時の流行や高い彩色技術が分かります。これぞ飛鳥のアイドルグループ! 太陽や月、星座は中国の天文学です。小さな石室ですが、すべてが貴重な資料でした。しかし今年、この壁画にカビが生えていることが分かりました。修復のため、墳丘の木々が伐採され、シートで覆われた外観は無残な姿でした。1972年の発見以来、文化庁は何をしていたのでしょう。怒りがこみ上げてきました。

 自転車を走らせていると、古墳とともにあちこちで、意味不明の石造物を目にします。昔話のキャラクターのような人の姿をした「猿石」、やたら甲羅の大きい亀の形をした「亀石」、鬼伝説に基づいて「鬼の雪隠(せっちん)鬼の俎板(まないた)」と呼ばれている石棺の蓋と底板。大きな声では言えませんが、「マラ石」という男性の●●もありました。
 田んぼのあぜ道を走りながら、これらのオブジェを巡る楽しさ。秋風の心地よさ。明日香村は日本の歴史の故郷であるばかりでなく、私たち現代人の心の故郷でもあると思いました。<続く>

写真上から)明日香村の田園を自転車で駆けるみとー/無残な高松塚古墳/猿石/亀石