Vol.74 静寂へ、山科ワープ 04.11.29訪問/12.10掲載
 紅葉の京都は人でいっぱい。そんな中、穴場を見つけました。山科(やましな)です!
 京都駅からJRでわずか1駅5分。閑静な住宅地へワープしたようです。通りを歩くと、サラサラと流れる水の音が聞こえてきました。明治時代に琵琶湖の水を京都へ引くために造られた疎水です。大きなカーブを描きながら流れる水路が現れました。この流れは、琵琶湖疎水の一部で、平安神宮のそばまでつながっています。

 疎水を渡り、山の方へ上っていくと、毘沙門堂に着きました。天台宗の門跡寺院で、本尊に最澄が彫ったと伝えられる七福神の毘沙門天を祀っています。紅葉の林の中に、仁王門へと続く長い石段があります。門をくぐると、小さな本堂があり、まさか庭園があるようには見えません。しかし、本堂の裏に行ってみてびっくり。真っ赤に色づいたモミジと、そして低い位置にはドウダンツツジが、ぐるり庭の中に立つ弁天堂を取り囲んでいました。ツツジの美しさは見事でした。明るくて優しい色の赤。紅葉するのはモミジだけではないのです。
 さらに奥には、晩翠園という回遊式庭園がありました。紅葉ももちろんですが、散った葉が池に浮かんでいるのも、美しい景色です。何より人が少ないので、縁側に座って、静かに心ゆくまで眺めていられます。

 
 帰り道、傾いた日差しが疎水沿いの遊歩道にある紅葉を照らしていました。木々の下を、地元の人たちが気持ちよさそうにウォーキングする姿がみられました。
 明治の遺産は、現代の生活の中にすっかり溶け込んでいました。
写真(写真上から)毘沙門堂の中の弁天堂とみとー/晩翠園の紅葉/山科疎水