Vol.73 錦の“賛美”高山寺 04.11.26訪問/12.6掲載
 山、谷、お寺―――目の届くところすべてに紅葉あり。パステル調のやさしい色合い。高雄。ここは、錦の谷です。京都の北西、清滝川沿いの谷間へは、京都駅から直行のJRバスに乗り、約40分で到着しました。

 この辺りは「三尾(さんび)」といわれ、高雄(高尾)、槙尾
(まきのお)、栂尾(とがのお)の3地区には、それぞれ代表する寺があります。中でも、紅葉で有名なのが高雄の神護寺です。
 朱色の高雄橋から楼門の石段。広い境内。至る所、紅葉です。地蔵院の庭からは、はるか下を流れる清滝川が一望です。絵になる風景に、写真が楽しくて仕方ありません。
 渓流沿いを歩くと、槙尾の西明寺がありました。小さな寺は参拝者もまばら。静寂の中、紅葉を見ながらお堂で休むと、お寺の人が「こっちのモミジからあっちのモミジへ。毎日色づきが変化していくの」と、嬉しそうに話しかけてくれました。そういう楽しみ方、素敵だなあ。
 
 最後は、栂尾の高山寺。背の高い杉や松の老木が茂って薄暗く、一番奥の金堂はひっそりしていました。石水院(国宝)の部屋から紅葉を眺め、「鳥獣戯画」(国宝)の複製を見学しました。日本の茶のルーツとなった茶園もあります。高山寺で「古都京都の文化財」の全17社寺の訪問を実現しました。
 錦の谷、高雄。今年は紅葉の色づきが悪いと言われますが、逆にカラフルな美が満喫できました。
写真(上から)高山寺の参道とみとー/神護寺の紅葉/西明寺の紅葉/高山寺の石水院の紅葉