Vol.65 ススキウェーブ 曽爾高原
 04.11.3訪問/11.6掲載
 奈良では、木々の葉っぱが衣替えの季節です。
 赤や黄色に染まった山々を眺めながら、曽爾
(そに)村の曽爾高原にやってきました。ここは、三重との県境にあり、どこまでも続くススキの名所として知られています。

 高原は、山の稜線に沿ってすり鉢状に広がっています。斜面は、見渡す限りフワフワの穂で覆われています。時折、山頂に向けて吹き上げる風を合図に、ススキが下から上へとウェーブ。風の動きが見えるようです。私の背よりも高いススキの海に浸りながら山頂へ向かうと、途端に立っていられないほどの突風に襲われました。
 でも、この風のおかげでしょうか、雲の動きが早くなり、いつしか曇り空が青空に変わっていました。ススキの穂は太陽の光を浴びて銀色に輝き、一層軽やかに揺れます。遠くを見渡すと、山の斜面をスクリーンに、雲の影がさーっと走っていきました。
 高原の近くには、「曽爾三山」と呼ばれる天然記念物の岩山があります。柱状節理が見事な屏風岩、兜岳及び鎧岳です。中でも屏風岩は、カラフルな葉っぱに囲まれて、巨大な舞台の幕のようでした。

 昼下がりには、山の向こうの三重県にも足を伸ばしました。名勝の赤目四十八滝です。その名のごとく、渓谷に沿って歩くと次々と滝が登場します。
 豪快に落ちる滝、岩場をすべるように流れる滝、一本の布のような滝・・・。涼しい峡谷の中で、様々な水の美を堪能しました。
写真上から)曽爾高原のススキとみとー/屏風岩/赤目四十八滝の不動滝