Vol.53 天空の高原 大台ヶ原
04.7.24訪問/8.7掲載
 立ち込める霧、ひんやりとした空気、シルエットとして浮かび上がる立ち枯れの木々……。
 ここは日本一雨の多い高原、大台ヶ原です。奈良県の南東に位置し、吉野熊野国立公園の中にあります。

 奈良市は連日快晴。今なら大丈夫と確信し、向かいました。3時間のドライブですが、近づいた途端、空には灰色の雲が立ち込め、小雨が降りだしました。さすがは多雨林地帯。まるで雲の中に入ったようでした。
 でも、せっかく来たんだからと山に入りました。地面はササで、空は木々の緑でいっぱい。すると雨もあがり、日が射してきました。涼しくて気持ちよく、何度も深呼吸しました。足取り軽く、どんどん進むと、景色は森から広く開けた草原に。再び霧が立ち込め、切り株や枯れ木がまるで化石のようでした。
 途中、鹿たちにも会いました。草を食べる姿は可愛らしいのですが、最近は数が増えすぎて、問題になっています。木の皮を食べられにないよう、ネットを張った木があちこちにありました。生態系を維持するのは難しいのですね。
 
 やっと目的地の大蛇ー
(だいじゃぐら)に到着です。ここは断崖絶壁の突端。目の前も両側も、約1000mの深い谷のはずですが、辺りは真っ白。あきらめかけていた、その時でした。突然、空から光が射しこんできたかと思うと、霧が消え、釣鐘状の山が姿を現しました。まるで、幻の空中都市、ペルーのマチュピチュみたい! でも、すぐにまた雲の中へ消え、今度は、雷がとどろき始めました。駐車場に戻ると、ざーっと雨が降ってきました。
 山に抱かれる心地よさとともに、森の七変化を目の当たりにし、「山は生きている」と体感しました。
写真上から)大台ヶ原を歩くみとー/大台ヶ原の鹿たち/霧から姿を現した大蛇