Vol.50 法隆寺と私 04.7.15訪問/7.22掲載
 お昼をまわり、風は熱風に変わりました。暑い法隆寺。参拝客はまばらで、日本最古の金剛力士像が脇を固める中門と五重塔が、まるで私1人を待ち受けているようでした。

 私が初めて法隆寺を訪れたのは中学の修学旅行。でも、記憶はあいまいで、覚えているのは、ただ7月末の暑い日だったことだけです。
 2回目は、4年前の秋。すでに世界遺産に興味を持っていました。「世界の宝」に感動し、思わず回廊に並ぶエンタシスの柱に抱きついて記念撮影しました。
 3回目は、去年の秋。実家から遊びに来た両親を連れて行きました。「40〜50年前の修学旅行以来だ」といって喜ぶ両親のはしゃぎぶりが印象に残っています。
 今日は4回目。屋根の緩やかな勾配や軒下で屋根を支える邪鬼、中の仏像に至るまで、じっくり時間をかけてみました。すると、法隆寺全体が、迫力というよりも、繊細で優美な印象で見えてきました。

 そして、いつも私の足をとめる仏像があります。宝物殿の百済観音像(国宝)です。身長2m。珍しい8頭身。流れるような衣のひだ。今にもふわりと浮かびあがりそうです。文献に登場するのは江戸時代。それまで忘れられていたなんて、いかにも、とらえどころのないこの仏像らしい話です。また夢殿は、経典の解釈に悩んでいた聖徳太子の夢に、仏が現れて教えたことから名づけられたそうです。
 法隆寺は、1300年以上前から建っているのに、訪れるたびに新しい発見があることに気づきました。偶然、翌日の新聞1面に、「年輪測定法で法隆寺の再建説が裏付けられた」という記事が載っていました。知れば知るほどやめられない! 歴史の面白さはここにあるのですね。
写真上から)法隆寺中門前に立つみとー/西院伽藍の五重塔と金堂/東院の夢殿