Vol.47 龍安寺、水面を見つめて
04.6.2訪問・掲載
 古都は、梅雨の季節を迎えました。じめじめした日が続きますが、この雨の時期を選んで咲く花々があります。

 石庭で有名な龍安寺の境内では、毎朝、睡蓮が花を咲かせています。鏡容池と呼ばれる池の水面には、蓮の葉が密集し、その上にピンクや黄色の花が顔を出しています。それほど大きな花ではありませんが、凛とした存在感があります。もっと近づきたいのに、水が邪魔して近づけない。そこに睡蓮の魅力があるのでしょう。そこに行けるのは、唯一お釈迦様だけなのです(仏教を勉強中)。
 寺の中に入りました。石庭を見るのは、これで4回目。よく知っているはずの庭ですが、今日はいつもより穏やかに見えます。きれいに整えられた白砂は細やかで石の「水面」はさざなみのよう。15個の岩は隅のほうに控えめに配置されていました。この庭は白砂がポイントかも知れません。これまで見てきた庭と比較しつつ、そう思いました。ただ、しばらくたたずんで鑑賞していましたが、それ以上は何も浮かんできません。この庭を理解するには、まだまだ時間がかかりそうです。

 龍安寺から15分ほど歩くと、妙心寺に着きます。臨済宗妙心寺派の本山です。実は龍安寺は妙心寺派のお寺なのです。広い敷地には46の塔頭があり、その中でも一番の見所は退蔵院の庭です。画家である狩野元信がデザインしているだけあって、襖絵のようにコンパクトにまとまっていました。もう一つの見所は、法堂の天井に描かれた雲龍図。大きな龍の目を見つめてぐるりと回ってみると、外枠が消えて、まるで龍が迫ってくるようでした。

 夕暮れに龍安寺に戻ってみました。すると、睡蓮の花は固く閉じられ、明日の朝日を待っていました。
写真上から)龍安寺の鏡容園の睡蓮/龍安寺の石庭/妙心寺の仏殿(手前)と法堂