Vol.44 大徳寺は庭園テーマパーク
 04.5.15訪問/5.21掲載
 酬恩庵(一休寺)の静けさが忘れられず京都の大徳寺に来ました。応仁の乱で全焼した後、一休禅師が住職となり復興した寺です。
 総門にある境内の地図を見て、びっくり。ここには24もの寺院が入っているのです。塔頭寺院といって、寺の敷地で本寺を補佐する子院です。見所は枯山水で、公開されている4つの寺院を訪れました。

 1つ目は龍源院【←】。前庭は、白砂の海の中に、石で3つの山を表したシンプルなもの。大きくとがった石が不老長寿の蓬莱山。右隅に小さくあるのが鶴島、そして左には丸く苔むした陸地と亀島があります。三角形の石の配置、丸い苔。高さや大きさの違いまで、まるで計算されたように調和がとれた宇宙観を感じました。

 次は、キリシタン大名の大友宗麟が創建した瑞峯院【↑】。やはりテーマは蓬莱山です。静寂の龍源院に対して、躍動の瑞峯院。蓬莱山から伸びる半島と打ち寄せる荒波を表現しているそうですが、私には雲間を行き来する龍のようでした。

 3つ目は細川忠興が建立した高桐院【←】。苔の絨毯が敷き詰められ、背の高いモミジが庭全体を覆っています。奥には竹林があり、屏風絵のよう。枯山水の白砂と石のコンビはなく、純粋にモミジの色の変化だけを楽しむ、自然の風情を感じる庭でした。
 最後は、大仙院【→】。まず目に入ったのが、白砂だけの何もない庭。実は、寺院の周りを取り囲む小さな庭が、蓬莱山と流れ落ちる滝を表し、その水が大河になって、この大海(白砂)に注ぎ込むという、仕掛けになっていたのです。どの寺院にも茶室があり、千利休との関わりも深いそうです。わびさびを感じる大人のためのテーマパークでした。
写真上から)瑞峯院とみとー/龍源院/高桐院/大仙院