Vol.38 春、花のシンフォニー
奈良・花めぐりシリーズT             04.5.4,16,30訪問/5.1掲載
 新緑が太陽の光を浴びてキラキラと輝いています。
 奈良では、そんな緑に映える色とりどりの花々が、多くの人をひきつけています。

 まず訪れたのは、春日大社の神苑内にあるフジの園。20種類約200本のフジがあり、ちょうど満開を迎えていました。高さを変えて配置されたフジ棚からは、勢いよく流れる落ちる滝のように花をつけたフジが、しなるようにぶら下がっています。フジといえば、淡い色合いから、奥ゆかしさを感じていましたが、これだけ一斉に咲き誇ると圧巻です。若葉の緑色との相性は抜群でした。
 しっとりとした大人の美のフジとは打って変わり、原色で大輪の花を咲かせるボタンが長谷寺にあります
。399段の登廊から見渡す庭全体がボタン園。赤・白・黄色・ピンク・紫…と、目の覚めるような色で、太陽に向かって大きく花を広げています。私の顔より大きい花もありました。「私を見て!」 一つ一つがそういっているように聞こえます。それもそのはず、厳しい冬を乗り切るため、藁の屋根に守られて大切に育てられてきたのです。今ここに、1年の成果が、見事に花開きました。

 最後は、シャクナゲが美しい室生寺です。今年は暖かかったため、見頃は例年より1週間ほど早く、すでに花が少なくなっていました。それでも、花のみずみずしさは、周囲の杉木立に呼応し、すがすがしい初夏の香りを運んできます。シャクナゲの向こうに見える朱塗りの五重塔が、一層鮮やかに見えました。
写真上から)長谷寺のボタン/春日大社のフジとみとー/室生寺のシャクナゲ