Vol.33 ローカル線、行くよ笠置山
「さくらの名所100選」                  04.4.9訪問/4.10掲載
 ガタンガタン、ガタンガタン……。ローカル線に揺られてたどり着いたのは、京都府南端の町、笠置(かさぎ)町。山里にある桜の名所です。
 JR関西本線の笠置
駅は、奈良駅からほんの4駅先です。といっても、そう簡単にいかないのがローカル線。列車は1時間に1本、しかもワンマンなのです。正午すぎに奈良駅を出発、木津川沿いを上っていきます。いつしか私の両側には、高くそびえる山々と畑の景色がありました。

 ホームに降り立つと、線路沿いに桜並木がまっすぐ続いています。乗ってきた青い列車は、桜の世界に吸い込まれるようにだんだん小さくなりました。初めて見る風景なのに、どこか懐かしく思えます。駅でおじいちゃんが、時刻表をくれ、撮影スポットを教えてくれました。これもローカルの良さ。
 駅で地図を手に入れ、笠置山へ。細く険しい山道です。天を覆うような桜の木々は、花が半分くらいしか残っていません。代わりに花びらが降り注ぎ、山道に積もっていきます。すれ違う人もわずかな桜道を登って約30分。山頂にある国史跡・名勝、笠置寺に着きました。
 2000年前から巨岩信仰があるといわれます。突如、巨大な岩がいくつも現れ、中にはアフガニスタンのバーミアンのような巨大な石像跡もありました。また、倒幕計画に失敗した後醍醐天皇が、身を隠した場所でもあります。山頂から、所々ピンクに染まった山々と蛇行する木津川を一望しながら、思いがけず発見した桜の町の歴史をかみしめました。

 ホームが駅舎の長い影で覆われた頃、桜の世界から迎えの列車がやってきました。
写真(上から)笠置駅の桜と青い列車/笠置山の「バーミアン」とみとー/山頂から駅方面を望む