Vol.12 師走の時代絵巻、若宮おん祭り
 03.12.17訪問/12.23掲載
 今年も残りわずか。奈良では、1年を締めくくる「春日若宮おん祭」が盛大にありました。
 春日大社摂社の若宮神社の祭りで、平安時代に五穀豊穣と国家安寧を祈って始まりました。
一度も絶えることなく、今年で868回目。国の重要無形文化財です。祭りは、15日から18日まで様々な行事があります。中でも一番の見所は17日のお渡り式。平安時代から江戸時代までの風俗を再現した人たちが市内を練り歩きます。

 行列は、白い被衣
(ほうい)で顔を隠し、馬に揺られながら進む若い巫女たち、長さ5.5mもある野太刀を運ぶ集団など、総勢1000人の行列です。沿道には早くから多くの人が詰め掛けています。初めて見物する私は、完全に出遅れ、後ろから懸命に背伸びをしつつ、隙間からやっと行列を見ることができました。
 道はアスファルトに、建物は鉄筋コンクリートのビルになりましたが、春日山を背景に繰り広げられるおん祭は、当時の伝統文化を確実に今に伝えています。

 おん祭は、主に能楽の古名である猿楽や田楽
(でんがく)、流鏑馬(やぶさめ)など芸能に関する一団が多くあるのが特徴です。これらは、行列の後、夜11時ごろまで順次奉納されます。例年は雨が多いということですが、今日は快晴で暖かく、今も昔も変わらず大和路を代表するおん祭を楽しみました。
写真(上から)みとーと春日大社・若宮神社/若宮おん祭りの時代行列の数々(3枚)