Vol.100 京都御所 1000年京の詩
05.6.6訪問/6.14掲載
 794年に誕生した碁盤の目の街、平安京。南には、街の入り口・羅城門、北の端には政治の中枢・大内裏(だいだいり)がありました。当時の通りは今もそのまま使われていますが、ほとんどの建物は焼失し、面影は史跡でしのぶのみです。
 現在の京都御所は、鎌倉末期(1331年)から明治初期(1869年)の東京遷都まで、皇居でした。大内裏から2km東にあります。この間、度重なる火災で再建が繰り返され、現存するもののほとんどは江戸後期の1855年に建てられました。

 御所は宮内庁のツアーで見学しました。参加者は25人。案内役は宮内庁の職員(10代!)です。
 一番の見所は、紫
宸殿(ししんでん)。即位礼などの重要な儀式を行う正殿です。中央には天皇の御座、隣に皇后の御座が置かれていました。皇室の過去の遺産のように見えますが、今でも古式にのっとった儀式が執り行われています。案内役の職員はユニークを交えた説明で、「は、聖徳太子の冠位十二階では最高位。紫宸殿の『紫』には特別な意味があるのです」といった話は、ためになりました。他にも、天皇が日常生活を送った清涼殿や御学問所など、多くの建物があります。
 そ
んな中、回遊式庭園「御池庭」の美しさには目を奪われました。松を基調に木々が茂り、手前の池に鏡のように映りこんでいます。葉っぱ一枚落ちていない手入れぶり。でも、主のいない広い御所は、がら〜んとしていて寂しそうでもありました。

 
ツアーの後、一歩、門から外に出ると、自転車が御所を取り囲む築地塀づたいに行き交っていました。貴族の邸宅があった場所は、芝生と樹木が植えられた御苑となり、子供たちが水遊びをしたり、人々がベンチに腰をおろしたりしています。御苑の外は、多くの車が行きかう大通りです。今と昔、皇室と一般人、静寂と喧騒。さほど高くない築地塀が、それらを分ける重要なものに見えました。
写真(上から)御所の紫宸殿とみとー(一部工事中のため特別間近で見学)/清涼殿/御池庭