Vol.9 東寺、車窓の五重塔 03.12.3訪問/12.5掲載
 京都の紅葉もいよいよ終盤。平安カラーの葉っぱたちが、ひらひらと舞いおちる中、東寺を訪れました。この寺は、元々平安京の東側を守るために建てられ、後に弘法大師の寺として発展しました。

 4ヶ月前、初めて京都駅から奈良行きの近鉄電車に乗った時、車窓から、現代的な屋根の中に、ひときわ高くそびえる五重塔が見えました。その時、「私は、これから古都に住むんだ」と実感しました。以来、この五重塔は、私にとって京都のシンボルになりました。
 この日は、京都駅の一つ手前、東寺駅で電車を降り、五重塔を目指しました。東寺のそばまで来ると、五重塔が真っ青な空に突き出たように立っていました。南大門をくぐると、二重屋根の美しい金堂(国宝)が、どっしりと立っています。奥には講堂があり、なんと21体の仏像が規則に従って配置され、「立体曼荼羅」を表しています。これは、弘法大師の密教の教えを表しているものです。曼荼羅は、絵画や織物では見たことがありますが、仏像で表現されたものは初めてです。講堂内は、現代の時間の流れを超越した特別な空間となり、21体から発せられる神聖なパワーを感じました。
 境内は、ゆったりとした空間の庭園になっていて、南東の隅に、五重塔(国宝)が立っています。全体的に黒っぽく、上品で落ち着きがあります。庭園の緑や真っ赤なモミジとのコントラストも美しく、しかも、日本一高い塔だけあってスマートな形でした。

 東寺から北へ20分ほど歩くと、西本願寺に着きます。残念ながら、御影堂(ごえいどう)は修復工事中で2010年まで見られませんでした。阿弥陀堂だけを見学して、帰りの電車に乗りました。
 東寺は夕日を浴びながら、京の空にそびえていました。
写真(上から)みとーと東寺南大門/西本願寺/車窓から見た東寺の五重塔