Vol.6 浄瑠璃寺、里山の極楽浄土
 03.11.18掲載
 奈良からほんの少し京都に入った山中に、浄瑠璃寺はあります。小さな門をくぐると、そこには極楽浄土の美しい世界が広がっています。中央の宝池をはさんで、東に薬師如来をまつった三重塔(国宝)、対岸の西に阿弥陀堂(国宝)が立っています。東の薬師如来は、現世の苦悩を救い、西方浄土へ送り出す仏。西の阿弥陀如来は、西の理想郷で迎えてくれる仏です。
 阿弥陀堂には、9体の阿弥陀如来像(国宝)が横一列にずらりと並び、東から来るものをじっと待っているようです。目を閉じたり、少し微笑んだり、9体の顔、体つき、衣のしわに至るまで同じものはありません。薄暗く静寂な雰囲気の中、黄金に光る阿弥陀如来像だけが浮かんでいるようでした。

 浄瑠璃寺で心を清めた後、岩船寺をお参りしました。ここの本尊も阿弥陀如来座像。周囲に多くのお供え物があり、堂内は華やかです。
 この地域は、当尾
(とうのお)と呼ばれ、多くの石仏が残っているのどかな里です。早速、石仏めぐりをするために、細い山道を入っていきました。落ち葉が積もった土の小道は、ふかふかしてとても歩きやすく、幼いころ愛媛の山を駆け巡っていたころのことを思い出します。いくつか見た石仏のうち、私のお気に入りは「わらい仏」。ずっと昔からこの山に暮らす人たちを暖かい笑顔で見守ってきたのでしょうね。

 最後に、民家の軒先で売られているハンドボールほどの大きさのかぶらを150円で買いました。青々とした葉っぱつきです。
奈良市街から車でわずか30分。柿の実がなる民家、畑、杉林と、そこには遊び心をかきたてる里山がありました。
写真(上から)みとーと浄瑠璃寺/岩船寺/当尾の石仏「わらい仏」